平成23酒造年度の酒造りについて

平成23酒造年度の酒造りについて

平成23年の酒米の収穫状況 

 今期、泉橋酒造は新しく播種機、田植え機(中古ですが)を更新し、昨年より栽培面積を約1割多く致しました。また、農薬に関しては、弊社栽培の雄町米に関しては農薬は全く使用せず、亀の尾・山田錦に関しては、成分回数1回の除草剤を1回のみ使用し、93%の減農薬を達成しています。また、さかみ酒米研究会会員納会の栽培分については、最も農薬を使う場合でも約60%の減農薬を達成しております。


(写真)除草作業の様子。


今期の酒米栽培状況は、土用干しの時期にあたる7月下旬、出穂(受粉)時期にあたる8月下旬の気温がやや涼しかった(例年のような猛暑日でなかった)ため、茎数が確保できた割には背丈が低く、無効分げつも少なく、また、高温障害も避けられていました。その段階では品質及び収穫量もまずまずの予想をしておりました。 
しかしながら、9月の前半の雨、後半の台風15号の前後あたりの日照不足により、山田錦を中心に最後の実の太りがやや悪く、収穫量がやや減る、ということになりました。生産農家も含め、弊社もちょっとがっかりしています。
 しかし、品質はまずまずであり、昨年に比べて味乗りの良い酒米になるのではないかと考えております。また、整粒歩合もよく、胴割れや未熟米などもありません。



(写真)酒米研究会の田回りの様子


泉橋酒造、さがみ酒米研究会で収穫した原料米は、(収穫量の多い順番に)山田錦(海老名市産、座間市産、相模原市産、川崎市産)、亀の尾(海老名市産)、雄町(海老名市産)、神力(座間市産)、そして、一般米としては、こしひかり(海老名市産)、きぬひかり(海老名市産)、さとじまん(大和市産)でした。
弊社での県産米の使用比率は、全原料米の98%となり、一部飯米は、「えびな錦」として食用として販売しております。酒米には約90トンを使用する予定。

次に3月11日の東日本大震災における原発事故による地元農産物の放射能汚染も心配されていましたが、収穫後の検査の結果、放射性物質は検出されていませんので、関係者一同ホットしているところです。(現在弊社独自で検査を実施しております)



(写真)山田錦


平成23年度の酒造方針について 

 原料米の栽培から、自社精米、そして、原料純米酒仕込みと一貫して行うことは昨年と同じ方向性です。
 昨年からはじめた生酛仕込みは、本数を増やし弊社での生酛仕込みの味の方向性を固める年としていきます。また、仕込みに占める生酛・山廃酛仕込みの比率は、全体の約30%となる予定です。

 仕込みの環境面では、夏場に仕込み蔵内の床面、仕込みタンクの改修を行いました。これにより、より清潔な環境での仕込み作業をめざし、よりよい品質になるよう工夫をします。精米に関しては、特に掛け米に関しては、扁平精米法を多用し、商品のリーズナブルな価格設定と高い満足度を目指していきます。仕込み作業に関しては、麹米に関しては、全量ザル洗い、フタ麹法など手間をかける手造りを行います。
 いづみ橋全体では、食事を活かす辛旨口の純米酒をめざして行きます。目標の平均日本酒度は昨年同様プラス9。


(写真)生もと造りにおける「山おろし」の様子。